导演:海老澤哲雄
有史以来、永くユーラシアの東西間には交流が乏しく、互いに相手方の情報を持ち合わせていなかった。ところが十三世紀に到ってアジアにモンゴル国が生まれると、その軍は東欧に深く攻め入り、西欧にも大きな衝撃を与えた。それを機にローマ教皇・フランス王のもとから東方のモンゴル側へ幾組かの使節が派遣され、モンゴル側の文書をはじめ、貴重な情報が西欧にもたらされた。本書では、その使節の報告書、モンゴル側の対外文書、モンゴル官人と教皇使節の交渉をとりあげ、あわせて自称モンゴル使節文書の真偽問題、および小アジアの一属国の対宗主国モンゴル関係を考察する。十三世紀のモンゴル・西欧関係の深層に迫ろうとする長年にわたる著者の貴重な研究成果であり、世に残していきたい一書である。