导演:稲泉連
社会へのとば口に立つ子を持つ親の一人として、リーマン・ショック以来、若者の就職事情の厳しさは、身に染みて感じてきた。 今の時代、正社員として安定した職を得ることすら難しい若者がたくさんいることについてのリポートは多々ある。ただ、近年、一般的には非常に恵まれたと見える条件で就職しながら、すぐ転職する若者が多いともいう。何が不満で、と言いたくもなるが、実態に深く迫るものは、あまり多くない。本書は、丹念なインタビューと取材で、その欠落を埋めると共に、背景にある社会の大きな変化をも、あぶり出してくれる。 登場するのは、8人の若者だ。就職したのは、全員、バブル崩壊のあと、「就職氷河期」といわれた1990年代中頃から、2000年代前半にかけての時期。東大、早稲田、慶応といったいわゆる「良い大学」から、経済産業省、都市銀行、大手総合商社、外資系コンサルタントなどへ...(展开全部)