批評家・教育者としても活躍した大辻清司（1923―）は、音楽・美術・デザイン・建築などと関わり、多岐にわたる実験的な写真表現で知られる。彼の仕事は、他に類のないユニークな存在として再評価が始まりつつある。

逆光の瀬戸内海を幻想的に表現したカラー作品で知られる緑川洋一は、じつは港町のスナップの隠れた名手でもある。１９５０年代の未発表作品をはじめ、モノクローム作品を中心に紹介する

写真雑誌『光画』の同人として登場し，東京の下町の日常を撮影して，小型カメラ・ライカによるスナップショットの第一人者となった木村伊兵衛（1901－74）の戦前・戦後の代表作を紹介．

寺山修司が主宰した劇団「天井桟敷」の専属カメラマンであった須田一政（1940―）は、日常の裂け目から異常なイメージを抽出させ、映像に定着させる。代表作〈風姿花伝〉シリーズを中心に最近作までを紹介する。

長崎・基地・沖縄など重いテーマを軸に多彩な活動をした東松照明（1930―）の仕事は、戦後写真界の巨人としてのイメージを印象づけた。1950年代から70年代前半までのモノクロ写真から、代表作を紹介する。

写真家自身によるエージェント「VIVO」のメンバーであった細江英公（1933―）は華麗な映像で知られる。舞踏家・土方巽の肉体で表現した『鎌鼬』、三島由紀夫をモデルにした『薔薇刑』などの代表作を紹介。

「民衆思想史」や「王権」をキーワードに、恐山・遠野・浅草・出羽三山など、彼岸と此岸の間に存在する人びとと風景を「異界」として提示し、宗教民俗学者として活躍する内藤（1938―）の作品の全貌を紹介。

早稲田大学大学院で美術史を学んでいた学生時代に、個展〈人間の土地〉で輝かしくデビューした奈良原一高（1931―）。その後も、知性に裏付けられた多種多様な技法とテーマの映像で知られている。

昭和の戦争写真の中で最も重要なものは原爆被爆の記録であろう。陸軍報道部員として原爆投下翌日の長崎に入り、100枚以上の写真を撮影した山端庸介の貴重な映像を中心に、写真家としての全貌を紹介。

近年，国際的にも評価が高まっている植田正治（1913-）は，鳥取砂丘を舞台にして，卓越した演出センスで，ユニークな群像写真や，乾いた造形感覚の静物写真を撮り続けている．60年以上にわたる作品からの傑作選．