导演:林 淑美
第一部では、台湾西部平原地帯を中心に、科挙受験を通して見えてくる台湾人アイデンティティの創出を検討し、第二部では、東部山岳地帯(漢・番の境界地帯)を中心に、漢人・生番間を往来して様々な活動に従事した「番割」の実態を明らかにしながら、まさに中華と化外とが共存した清代台湾社会の諸相を王朝国家との関わりのなかから描出してみたいと考えている。誤解を恐れずにいうならば、近年、日本でも台湾でも日本統治期の台湾研究が極めて盛んである一方、残念ながら清代台湾史研究にはあまり興味関心が払われていないかのように見える。本書は微力ではあるが、そうした学界動向に一つの〝新たな風〟を吹き込むべく、個人や地域社会といったミクロな問題から、清朝という国家レヴェル、さらには国際関係などマクロな領域にまで議論の枠組みを拡げながら、清代台湾史研究の〝魅力〟を描き出してみたい。