导演:藤田 勝久
【序章】より(抜粋) 本書は、中国出土資料の機能を通じて、秦漢時代の郡県制における文書伝達と情報処理、交通システムの原理を明らかにしようと試みるものである。こうした簡牘にみえる情報伝達の特徴を通じて、中国古代国家と地域社会の特質を解明することが目的である。各章は、以下のような構成である。 第一編「秦漢簡牘の機能と情報伝達」では、秦代の県城である里耶古城と、県レベルの機構である甲 渠候官と肩水候官、その下部にある肩水金関、県の下部にある懸泉置を基礎として、簡牘の機能(文書逓伝、冊書の文書伝達、情報処理、単独簡の用法、通行証としての伝)に注目し、秦漢時代の情報伝達の原理を明らかにする。第一章「里耶秦簡と秦代郡県制」は、出土資料学としての機能を整理して、県の領域にある地方官府の役割を考察する。第二章「漢代地方の文書逓伝と情報処理」は、中央と地方を結ぶ懸泉置...(展开全部)