导演:藤田 勝久
本書では、つぎのように『史記』の歴史を考えてみたいとおもう。序章では、武帝時代の社会のなかで、父と司馬遷が著述をした背景と、出土史料の情報を紹介する。第一章~第八章では、『史記』本紀と表を中心とする各時代の歴史について、どのような方法と意図で描いたかをみてゆく。そして考古発見による史実との違いを考えてみる。終章では、『史記』の史料論と司馬遷の歴史観をまとめている。漢代の司馬遷は、どのように古代中国の歴史を理解したのだろうか。また現代に生きる私たちは、『史記』という古典から何を学ぶことができるだろうか。これから本書では、伝世文献に加え、新しい出土史料の情報によって『史記』を作成した方法を確かめ、司馬遷が後世に伝えようとしたメッセージを探ってみよう。